中国ビジネスの第一線で活躍するアンダーソン・毛利・友常法律事務所中川弁護士(北京事務所首席代表)とCDI-China川崎総経理による特別対談記事第4回(全5回)が中国ビジネス情報誌BizPressso (ビズプレッソ)に掲載されました。今回のテーマは、前回に引き続き「中国でのM&Aの注意点とポイント」です。
「中国企業の買収案件では、法務デューデリジェンス(事前調査)のみならず、財務、税務デューデリジェンスにおいても数多くの検出事項が出るのが常ですね。中国実務についての一般的な書籍、雑誌にもこの手のリスクは多く書かれています。しかし私としては、本当に重要なことはこれらリスクと一緒に勘案すべきものは何か? ということだと認識しています。世間では、リスクだけが突出して語られてしまい、バランスが悪いと思っています。われわれとしては、リスクの他に大きく3つのポイントがあると考えています。1つは、買収の「経済性」です。事業デューデリジェンスでは、買収会社の事業にとって当該買収がどのようにプラスに働くのか(あるいは働かないのか)を検証します。事業リスクを抽出し、起こりうる将来シナリオを論理的に描いていきます。M&A はそもそも事業をより良くするために実施するわけですから、このポイントは極めてベーシックな論点です。2点目のポイントは「時間」です。仮に今、中国企業を買収しなかった場合に、自前で買収候補と同様の事業・事業体を作るのにどれだ
けの時間を要するかという観点です。ここでいう時間とは、機会損失の概念で捉えるべきもの
でして、今参入しない場合に生じると想定される機会損失を指します。一般的にM&A は「時
間を買う」手段と言われていますが、変化の早い中国市場においてはなおさらM&A のこの機
能は価値を有します。また3 点目としては、「不確実性」です。仮に買収しないで自前で事業
を創造、拡大しようとしても、同じような事業をここ中国において自前で作れるという保証はな
いわけです。特に中国においては、日本のビジネスの常識が通じない場面が多々ありますの
で、事業の形をつくることそのものに非常に苦労することになります。M&A は、この不確実
性を減らすという機能もあるわけです。」
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